幸せが利益を生む?「日本ウェルビーイング研究会議」が始動
公益社団法人日本青年会議所と、株式会社博報堂のシンクタンクである博報堂100年生活者研究所が共同で、「日本ウェルビーイング研究会議(Japan Well-being Research Council:略称 JWC)」を発足させました。
この研究会議は、「ウェルビーイング」という言葉を、単なる個人の幸せだけでなく、企業の生産性や利益を生み出す「新たな成長資本」として捉え直し、日本経済の現場に実装することを目指しています。なんだか難しそう…と思うかもしれませんが、実はとってもシンプル。働く皆さんの幸せが、会社の元気につながる仕組みを科学的に解き明かそう、という壮大な挑戦なんです!
研究の3つのユニークな特徴
この研究には、注目すべき3つのポイントがあります。
1. ダイバーシティ時代の新しい成長戦略
現代は多様性の時代。結婚しているかいないか、家族の形はどうであれ、皆さんが大切にするパートナー(配偶者、親、親友など)との信頼関係が、企業の成長を支える土台になる、と考えています。個人の生活での安心感が、仕事での挑戦心や良い意思決定に繋がるという視点は、これからの時代に欠かせないものですよね。
2. 「幸福」を「利益」に変えるメカニズムの実証
「プライベートでの心の安定が、ビジネスでのやる気や質の高い判断力を高め、結果として会社の利益になる」。この仮説を検証するため、なんと「経営者×社員×パートナー」という3者間のデータを紐付けた、国内初の※大規模調査を実施します。今まで見過ごされがちだった「幸せが業績にどう繋がるのか」という関係性が、これで明らかになるかもしれません。
※国内の企業調査において、経営者・社員・パートナーの3者の意識データを紐付けて分析する試みとして(2026年2月時点、日本ウェルビーイング研究会議調べ)
3. 「人的資本経営」をより具体的に
調査結果をもとに、会社の目に見えない基礎体力を測る独自の「ウェルビーイング成長指標(仮)」を開発します。この指標を日本青年会議所の全国ネットワークを通じて地域企業に広め、人財の定着や生産性向上に悩む日本企業に、具体的な解決策を提供することを目指しています。
なぜ今、この研究が必要なの?
近年、「人的資本経営」や「ウェルビーイング経営」は注目されていますが、日本企業の99.7%を占める中小企業では、「必要性は感じるけれど、どうすればいいか分からない」という声が多いのが現状でした。また、これまでの議論は「従業員と組織」の関係に留まり、社員を「ひとりの生活者」として捉える視点が不足していたのです。
皆さんの日々の生活や、大切な人との関係性が、実は会社の業績に直結しているにもかかわらず、この部分は長年「ブラックボックス」でした。そこで、日本青年会議所の若手経営者ネットワークと、博報堂100年生活者研究所の生活者視点での知見が連携し、「働く上でのやりがい・日常生活でのいきがい・組織としてのはたらきがい」の3つのウェルビーイングを同時に高める新しい経営モデルを探求するために、この研究会議が発足しました。
目指すは「100年続く企業の処方箋」
この研究会議では、1年間の活動を通じて、企業規模に関わらず実践できる「100年企業の処方箋」を提示することを目指しています。
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良い関係の発見: 働く本人、大切な人、組織のつながりが、幸福度や会社の成長にどう影響するかを可視化します。
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新しいモノサシづくり: 売上などの従来の指標では測りにくい「未来への元気さ」を測定する、新たなウェルビーイング指標(仮称)を開発します。
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好事例の共有: ウェルビーイング経営を実践し、成果を出している企業の工夫を集め、多くの企業が参考にできる形で発信していきます。
今後の活動計画

3月20日の発足を皮切りに、年間を通じて多角的な検証が進められます。
夏には、全国の企業で実践されているウェルビーイング施策の「好事例レポート」が公開される予定です。このレポートでは、社員の幸福度と組織成果の関係性や、大切な人との関係性が働く意欲に及ぼす影響などが、実践企業のリアルなデータから抽出されることでしょう。
そして秋には、これまでの調査・分析・事例を統合した共同研究の中間成果が発表されます。きっと、中小企業でも導入しやすい基本的なアプローチや仮説モデルが提示され、私たちに新しいヒントを与えてくれるはずです。
プレ調査から見えてきた「100年企業」のヒント
本格始動に先駆けて行われたプレ調査では、ここ3年間の業績が増収で、10〜20年先を見据えて事業を運営している会社を「100年企業」とし、経営者・社員・パートナーの意識や行動の特徴を分析しています。興味深い結果の一部をご紹介しますね。
経営者の意識/行動
100年企業の経営者は、自身の志や生活における幸せが企業の成長に繋がることを強く意識していることがわかりました。

自身の志に基づいた判断基準で経営している割合は、そうでない企業と比べて24.8ポイントも高く、幸せと会社成長の相関を実感している割合も17.5ポイント高い結果が出ています。
社員の意識/行動
100年企業の社員は、会社のビジョンに共感し、仕事を通じて成長できていると実感する割合が、そうでない企業と比べて1.3倍も高いことが明らかになりました。

会社のビジョンへの共感は20.9ポイント、仕事を通じた成長実感は14.5ポイント高い傾向にあります。社員一人ひとりが「この会社で働けてよかった!」と感じられる環境が、企業の成長には欠かせないんですね。
パートナーの意識/行動
大切なパートナーの存在も、企業の成長に大きく影響しているようです。100年企業のパートナーは、相手の夢や幸せを理解している割合が高く、こうした理解者の後押しが、働く人の成長の原動力になっていることが示唆されています。

パートナーが「夢や目標について話を聞いている」割合は20ポイント、「相手の『幸せ』の定義を知っている」割合は12.3ポイント、それぞれ高い結果となりました。
経営者とパートナーの関係
さらに驚くべきは、100年企業の経営者は、パートナーに対して志を共有するだけでなく、実は弱音を開示する割合も高い傾向にあることです。

パートナーへの「志の共有」は25.6ポイント、「弱音の開示」は18.3ポイント高い結果となっています。大切な人に心を開いて弱みを見せることで、より強固な信頼関係が築かれ、それが仕事にも良い影響を与えているのかもしれませんね。
あなたの幸せが、未来を創る
この「日本ウェルビーイング研究会議」は、私たち一人ひとりの幸せが、企業、そして社会全体の元気につながることを科学的に証明しようとしています。仕事もプライベートも、どちらか一方だけが幸せでは、本当の意味で充実した人生とは言えないかもしれません。
あなたの「やりがい」「いきがい」「はたらきがい」が、きっと日本の未来を明るくする力になるはずです。この研究の成果が、あなたの働く環境や、日々の生活に、新しい気づきと希望をもたらしてくれることを心から願っています。
この研究会議の活動に興味を持った方は、ぜひ以下のリンクもチェックしてみてくださいね。





