「分かってもらえない」を乗り越えるために
イベントを主催したのは、2021年12月25日に設立された「北海道小児膠原病の会」。小児膠原病は症状が多様で、診断や治療が長期にわたることも多く、患者さんやご家族、そして医師の間で「認識のズレ」が生じやすいという実情があります。
会が事前に行ったアンケートでは、医療現場でのコミュニケーションについて「難しい」と感じている人が多数を占め、難易度の平均は5段階中4という結果に。「自分だけが悩んでいるのではないか」「医師の気持ちが分からず、距離を感じていた」といった声も寄せられたそうです。
このイベントは、医師側の視点である「プロフェッショナリズム」と、患者側の視点である「患者力(エンパワメント)」の両方を学び、対話を通じて相互理解を深めることを目的に企画されました。
第1部:心で「聞く」時間
医師の「きもち」を知る
まず登壇したのは、会の顧問も務める小児科医の佐藤泰征先生。先生は、診療時間の制約や電子カルテ入力といった業務負担が、コミュニケーションを難しくする背景にあると説明されました。
そして、「医学的視点」と「生活者としての視点」の違いから生まれる「認識のズレ」に焦点を当て、近年重要視されている「シェアード・デシジョン・メイキング(SDM/共同意思決定)」を紹介。医学的根拠だけでなく、患者さんの価値観や生活背景を尊重し、医師と患者が対等な立場で治療方針を決めていく考え方を伝えました。
さらに、「患者さんからの言葉は、医師を成長させる宝物です」という温かい言葉で、対話の積み重ねが医療を育てていく大切さを語られました。参加者からは「医師も一人の人間なのだと感じ、心の距離が縮まった」「次の診察では、もう少し自分の思いを伝えてみようと思えた」といった声が聞かれ、医師の人間的な側面に触れることが、対話への大きな一歩につながることが共有されました。
「患者力」を育む
続いて、メディカルソーシャルワーカーであり行政書士でもある山田純一氏が登壇。「患者力(エンパワメント)」について、医療と患者が協働するために欠かせない視点として解説されました。
患者力は、次の4つの要素から成り立っているそうです。
- 情報理解力
- 意思決定力
- 自己管理力(セルフマネジメント)
- コミュニケーション力
山田氏は、「医療を“任せる”から、医療と“共同する”へ」という意識の転換が、治療の質だけでなく、私たち自身のQOL(生活の質)の向上にもつながると語りかけました。参加者からは「医師と患者、双方の立場が分かり、ズレが悪意ではないと気づいた」「逃げずに学び、向き合うことの大切さを感じた」といった感想が多く寄せられました。

第2部:未来を「考える」時間
夢を語る「マイレポート」の活用
第2部では、会の代表である佐久間しほこさんと3名の患者さんが登壇し、座談会形式でコミュニケーションツール「マイレポート」の活用について意見交換が行われました。
「マイレポート」は、病気の症状や困りごとだけでなく、「将来やりたいこと」「大切にしている価値観」といった、私たち自身の前向きな希望を可視化するツールです。病気と向き合う中で、ついネガティブなことに目が行きがちですが、このツールを使うことで、自分の未来を明るく描く手助けになります。

参加者からは、「『子どもと走りたい』『復職したい』といった目標を主治医に伝えることで、治療を一緒に考えられるようになった」「病気の重さに関わらず、それぞれに“しんどさ”があると分かり、気持ちが楽になった」といった声が寄せられました。人生の転機(学校復帰・就労など)において、自分自身を守り、伝えるためのツールとしての有用性も改めて実感する声が聞かれ、多くの共感を呼びました。
事務局からのメッセージ:あなたは一人じゃない
設立4周年を迎えた北海道小児膠原病の会。事務局からは、「患者は決して、治療を受けるだけの受け身の存在ではない」「医師もまた、私たちを一人の人間として、生活者として理解したいと願っています」という力強いメッセージが発信されました。
「私たちが『どう生きたいか』『何を大切にしたいか』を語ることは、わがままではありません。それは、最良の治療プランを一緒に考えるための、大切な情報です。」
もしあなたが「自分だけが悩んでいるのではないか」「こんなことを聞いてもいいのだろうか」と感じているなら、どうか一人で抱え込まないでください。北海道小児膠原病の会は、あなたの「きもち」を言葉にし、未来への希望を共有できる場所でありたいと願っています。
北海道小児膠原病の会について
北海道小児膠原病の会は、小児膠原病を抱える子どもたちとその家族が、病気を正しく学び、安心して交流できる場を提供する患者会です。オンライン交流会やLINEオープンチャットのほか、社会に向けた啓発活動にも取り組んでいます。会費はかかりません。
北海道に限らず、全国から参加できます。患者さんやご家族以外に、患者さんを支援したい方も参加可能です。
【団体概要】
名称: 北海道小児膠原病の会
代表: さくま しほこ
主な活動内容:オンライン交流会(毎月実施)/LINEオープンチャット/情報発信/啓発活動
公式HP: https://www.h-syonikogen.com/
【本件に関するお問い合わせ先】
北海道小児膠原病の会 事務局
Email:hokkaido.syoni.kogen@gmail.com








