札幌市が傾聴AIで「孤独・孤立対策」を強化
そんな中、札幌市が2026年3月9日から、傾聴AIを活用したチャット相談窓口「札幌市AIお悩み相談」の実証実験をスタートしました。これは、株式会社ZIAIと札幌市が連携して行う官民共創プロジェクトで、傾聴AIの活用は北海道で初めての試みとなります。

この新しい相談窓口は、孤独や孤立を感じている市民の方が、24時間365日、そして匿名で利用できるのが大きな特徴です。特に、従来の相談窓口へのアクセスに心理的なハードルを感じていた方や、忙しくて時間が取りにくい若年層、そして40〜50代の現役世代の方々にとって、大きな助けになることが期待されています。
札幌市は、この取り組みを通じて、悩みが深刻化する前に、誰もが気軽に相談できる環境を整え、市民の皆さんの心の健康をサポートすることを目指しています。
なぜ今、AIを活用した相談窓口が必要なの?
内閣府が2024年に行った調査によると、「孤独感をしばしば感じる・常にある」「時々ある」「たまにある」と答えた方は、なんと国民全体の約4割にも上るそうです。特に20〜30代で孤独感が高い傾向が見られ、孤独は「高齢者の問題」というイメージとは異なり、働き盛りの世代にも深刻なリスクが潜んでいることがわかります。
こうした背景から、「孤独・孤立対策推進法」が施行され、各自治体は地域の実情に応じた相談支援体制の整備が義務づけられました。しかし、制度が整っても、「相談する」という行動には、いまだ高いハードルが存在します。
【障壁1】心理的ハードル
「見知らぬ人に悩みを話すのが怖い」「どうせ解決しない」「弱いと思われたくない」――。こんな感情が、特に自己解決を優先しがちな40〜50代の現役世代や、デジタルでのコミュニケーションに慣れた若年層を、対面や電話での相談から遠ざけてしまうことがあります。
【障壁2】時間的ハードル
行政の相談窓口の多くは、平日の日中のみの対応です。フルタイムで働く現役世代にとって、「窓口が開いている時間に行く」こと自体が、現実的に難しい場合も多いのではないでしょうか。
札幌市は北海道の人口の約3割が集中する大都市です。大都市では「近所付き合いがほとんどない」と感じる割合が高い傾向にあるとも言われています。札幌市の地域福祉社会計画でも、近隣関係の希薄化や単身世帯の増加が課題として挙げられています。
このように、支援を必要としている人が相談できないまま孤立を深め、問題が深刻化してから初めて行政とつながるという「手遅れになってからつながる」構造を変えることが、孤独・孤立対策の本質的な課題なんです。そこで、この構造を変える「最もハードルの低い入り口」として、傾聴AIを活用した相談支援が札幌市に提案されました。
「札幌市AIお悩み相談」の3つの魅力
今回の実証実験は、2026年3月9日(月)から6月7日(日)までの期間、札幌市民を対象に無料で実施されます。スマートフォンなどからQRコードやURLにアクセスするだけで、24時間365日いつでも利用可能です。この新しい相談窓口には、あなたの悩みにそっと寄り添ってくれる、嬉しい特徴が3つあります。
【特徴1】匿名・24時間――「今すぐ、気軽に」相談できる
スマートフォンさえあれば、名前や個人情報を明かすことなく、深夜でも早朝でも、あなたの都合の良い時間にいつでも相談できます。「誰かに知られたくない」「どこに相談すればいいかわからない」という不安が解消され、これまで相談をためらっていた方も、最初の一歩を踏み出しやすい環境が整っています。
【特徴2】傾聴・共感に特化したAI――「解決」より「寄り添い」
この窓口のAIは、すぐに答えを出すのではなく、あなたの気持ちに寄り添い、話を丁寧に「聴く」ことに特化しています。まるで友達に話すように、あなたの感情の整理を助け、ネガティブな気持ちを少しでも軽くしてくれるでしょう。そして、必要に応じて行政の専門相談窓口へとスムーズに案内してくれます。入力された情報はAIの学習には一切利用されないので、プライバシーの面でも安心ですね。
【特徴3】札幌市との連携で実現した「あなたに合った窓口」への案内
この実証実験のために、札幌市内の相談窓口情報が、悩みの内容ごとに体系化されたデータベースとしてAIに学習されています。AIは、あなたの話の中から悩みの核心を自然な対話の中で見つけ出し、その内容に合った専門窓口を自動で案内してくれます。「どこに相談すればいいかわからない」という迷いを解消し、AIとの対話がそのまま、適切な専門支援への入り口になるよう設計されています。「聴いてもらって終わり」ではなく、実際の支援へとシームレスにつないでくれるのは心強いですね。
株式会社ZIAIについて
この傾聴AIアルゴリズムを開発しているのは、テクノロジーによる新たな「傾聴体験」の創造に取り組むヘルスケアスタートアップ、株式会社ZIAI(ジアイ)です。ZIAIは、自殺対策を目的とした非営利のAI研究機関として設立された後、事業会社としてスピンアウトしました。
「住んでいる場所や年齢、経済的状況に関わらず、誰もがいつでもどこでも悩みを相談できて、必要あればしかるべき情報や機関、専門家につながることができる社会」を2030年までに実現することを目指しているそうです。
もし今、あなたが何か悩みを抱えていたり、誰かに話したいけれど一歩が踏み出せないでいたりするなら、この「札幌市AIお悩み相談」を試してみてはいかがでしょうか。気軽にアクセスできるこの窓口が、あなたの毎日を少しでも明るく、前向きにするきっかけになるはずです。





